子どもの記憶力と暗算力を鍛えるカードゲーム「KKZ 48」を考えた

神経衰弱とかけ算を組み合わせた新しいカードゲーム「KKZ 48」を考えた。記憶力と暗算力が鍛えられるだけでなく、けっこう戦略性も試される。(ページ最後から素材データがダウンロードできます)

「48」はマジックナンバー

学校の算数の授業で「約数」を習った息子(当時11歳)が、「24と48って、すごい数字なんじゃない?」と気づいた。何がすごいのかというと、約数が多い

「24は、約数が8コもある。48は…」。48の約数は1、2、3、4、6、8、12、8、24、48。「約数が10コ!すごくない!」

息子よ、そうなんだ。24や48は、「高度合成数」と呼ばれる数字で、それ未満のどの数よりも約数が多い自然数だ。48は約数を10コ以上持つ自然数の中で最小の数字。ちょっとした「マジックナンバー」なのである。

世の中をみまわしてみると、「48」であふれている。

例えば、AKBは「48」。

SKEも「48」。NMBも、STUも、「48」だ。

乃木坂も、…乃木坂は46か。

忠臣蔵の赤穂浪士は、…四十七士。でも切腹して討ち入りできなかった萱野三平を入れれば四十八士だ。AKO 48だ。

AKO47。(画像は歌川芳虎の『義士四拾七人』)

あとは、キン肉マンの「48の殺人技」とか…たぶん他にもいろいろ48はあると思う。

48の殺人技って今いくつまで出たのだろう(出典『キン肉マン』5巻)

約数が多いということは、その分、掛け算で作れる組み合わせが無数にある。48人であれば、その中で16人編成のチームを3組作ったり、24人ずつ1軍・2軍の2チームに分けたり、8人チームを6組作ったりと、いろいろな組み合わせができる。これが、「48」のすごいところだ。

そんな話しをしていたら、「48」の約数を使ったカードゲームを思いついた。早速作ってみた。

「KKZ 48」のルール

カードゲームの名前は、「KKZ(カケザン)48」

カードは全部で48枚。おもての面には48の約数がそれぞれ書かれている。

裏面には「KKZ 48」のロゴ。

ルールは、トランプの神経衰弱とほぼ同じだ。

①カードを裏返して並べて、じゃんけんで順番を決める。

②最初のプレーヤーは、伏せてあるカードを1枚ずつめくり、出た数字を順番に かけていく。見事「48」になったら、めくったカードをゲットして、そのターンは終了。次の人の番に。

めくったカードの積が「48」を超えてしまったり、それ以上カードをめくっても「48」にならないことが確実になった場合もターンが終了。カードを裏返しに戻して、次の人の番に。

③こうして順番にカードをめくって取っていき、場のカードが全部なくなるか、かけても48にならない組み合わせのカードだけが残ったら、ゲームは終了。ゲットしたカードの枚数が一番多い人の勝ちだ。

「KKZ 48」で鍛えられる力

「KKZ48」を通じて鍛えられる子どもの力は2つある。1つは、記憶力だ。トランプの神経衰弱と同じく、めくったカードの数字を覚えておく必要がある。遊んでいるうちに、短期記憶の力が養われる。

カードゲット。父は一足先に。

もう1つは暗算の力。48を作るためにはかけ算とわり算の暗算が必要だ。例えば、めくったカードが「3」「2」「4」だったときに、次に必要なのが「2」だとすぐに気づかなければいけない。

「3」「2」「4」が出たので、48にするため「2」の場所を思い出してめくる。どんどん取れるカードにMAXハイテンション。

また、例えば「3」と「3」のカードを引いて9になった時点で、これ以上めくっても48にはならないことに気付けないと、その後にカードを無駄にめくって後続のプレイヤーに余計なカードの情報を与えてしまいかねない。

ゲームを重ねることで、かけ算の暗算は確実に速くなる。

「KKZ 48」の戦略

「KKZ 48」は戦略性が試されるゲームでもある。

「48」を作るには、「12」×「4」や、「16」×「3」など、2枚で48になる組み合わせがとりやすい。ところが、この方法だと1ターンに2枚しか取れないので、なかなか手札が増えない。

「3」×「2」×「2」×「2」×「2」など、小さな数字のカードで48を目指す方が、いっぺんにたくさんの枚数が取れる。だが、めくる枚数が増える分、記憶違いでミスをする危険性も高まる。

ゲームの序盤と終盤では、最善手も変わる。カードの取り方を工夫して、早期終了による逃げ切りを図る手もある。いろいろと細かな戦術がありそうだ。

適当に作ったゲームにしては、かなり奥が深い気がする!

この勝負、運否天賦じゃない(出典:講談社『賭博黙示録カイジ』1巻)

と思ったが、実際にゲームを始めてみると、残念ながら、そこまで高度な戦術のぶつかり合いにならない。親(私)は短期記憶の力がほとんど死んでいるので、カードの場所を覚えられない。あっと驚く奇跡が起きない限り、「3」×「2」×「2」×「2」×「2」なんていう賢い取り方はできないのだ。

わが家で「KKZ 48」は、記憶も戦略も関係ない、ただの運ゲーと化した

「KKZ 48」カードのPDFデータを配布するので、ぜひ皆さんのご家庭では高度な戦略ゲームとしてトライしていただきたい(なお、デザインはちょっと変更しています)

この記事を書いた人
枕井仗二

執筆と編集の仕事をしています。妻と息子と娘の4人ぐらし。映画やSFやロックやマンガや超常やゲームへの愛を適度に紛れ込ませながら、子供と遊んでいます。

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