息子と見つけた「人生ゲーム」に勝つ方法は、本当の人生では必勝法にならない

子どもとあそぶ

人生ゲームに必勝法はあるのか。必ず勝てるわけではないけれど、勝つために必要な「最善手」があることを、息子と見つけた。ただし、実際の人生には適用できなそうだ。

人生ゲームの必勝法

ボードゲームの定番「人生ゲーム」は、運で勝敗が決することが多く、子供が大人に勝つこともできるので、家族向けにちょうどよいゲームだ。我が家では子供が幼稚園のころからハマり、この5~6年、遊んでいる。

ハマりすぎて、タカラトミーのある葛飾区青砥で開催されるリアル人生ゲームに何度も参加している

「人生ゲーム」の順位は、全員がゴールした時点での保有資産額で決まる。必勝法はあるのか。ゲームの展開がルーレットに委ねられているが、自分で選択できる「住宅」「保険」「株式」については、勝つために選択すべき「最善手」があることを、息子と見つけた。
(なお人生ゲームはバージョンによってルールが異なるため、以下は現在発売中の定番の人生ゲーム「2016年スタンダード版」での最善手だ)

1.生命保険には必ず加入する

掛け金$5,000が満期で$100,000に。とてつもない辺戻率だ

「生命保険」はゲーム冒頭、1回目の給料日のマスで、加入の有無を選べる。保険支払額は$5,000だが、ゴール直前まで持っていれば満期で$100,000の払い戻しがある。確実なリターンが見込める投資商品なので、必ず加入するべき

2.家は最も高い物件を買う

最高額$80,000のタワマンはゴール時に資産価値が$240,000に。

「家」は、ゲーム序盤の2度目の給料日のマスで、購入を選択できる。ゴール時に資産価値が3倍になるので、その時点で買える一番高い家を買うのがよい。手元資金がなくても「借金」して買おう。(巨額の負債を抱えたままゲーム後半の「決算日」を迎えて返済できず「開拓地送り」になるリスクもあるが、決算日でも家は購入価格の2倍で売れるのでデフォルトリスクは低い)

3.自動車保険と火災保険は加入していた方がよさそう

「自動車保険」はゲームスタート時に、「火災保険」は住宅購入時に、加入を選べる。自動車保険は掛け金$1,000。加入していれば「交通事故」のマスに止まった時に$40,000の支払いが免除される。火災保険は掛け金$5,000。加入していれば「火災」のマスに止まった時に保険金$20,000がもらえる。事故と火災の発生リスクはかなり低いので、加入は不要かと思っていたが、息子の考えでは、人生ゲームの最終順位(総資産額)が千ドル単位の僅差で決まるケースはほとんどないため、少額の掛け金で入れる保険には入っておいた方が、事故・火災で数万ドルを失うリスクよりも効果が大きい、という。

4.株券は2枚購入するのがよさそう

「株券」はゲーム中盤の給料日に1枚$5,000で2枚まで購入できる。ゴール時に持っていると価値が2倍に増えるほか、途中で株価上昇・下落のマスに自分や他人が止まることで、高く売れたり、お金を支払ったり、もらったりすることがある。プラスになるマスが2つ、マイナスになるマスが1つなので、確率的にはプラスになることが多いため、買えるだけ買っておいた方がよさそう、というのがいまのところの結論だ。

5.借金はギリギリまで返済しない

借金チャラのマス。甥っ子よ、ごめん。

住宅購入時など、銀行から$20,000単位で借金ができる。この借金は、自分のターンにいつでも返済できるのだが、ゲーム中盤に、止まると借金が帳消しになるマスがあるので、ここを通過するまでは返済しない方が良い。ただし、ゲーム後半の「決算日」まで借金が残っていると金利がついて返済額が$25,000に増えてしまうため、この前には返済すること。


このほかに自分で選択するものとして、職業のコースがある。ゲームスタート時に「ビジネスコース」か「専門職コース」を二択で選ぶ。具体的な職業はその後のルーレット次第だが、「ビジネスコース」が安定したサラリーマン人生、「専門職コース」がハイリスクハイリターン型だ。どちらを選択すれば勝つ確率が上がるのか、まだ我が家では結論が出ていない。

専門職コースに進むと、全体的に給料が高い職業(左列)に就けるが、就職できずフリーターになるリスクもある

人生ゲームの教育面でのメリットとデメリット

われわれ親も、これまで「人生ゲーム」でただ単に子供と一緒になって遊んで、勝った負けたと、はしゃいできたわけではない、と言いたいところだが、実際にはただ単に遊んではしゃいできただけなので、改めてこのゲームの、教育上の功罪についても、検証した。

メリット1.計算が早くなる

お金のやり取りをするので計算が早くなるのは間違いない。うちの娘も学校では「たしざんとひきざんがにがてなの…」とか言っているくせに、「人生ゲーム」のときだけは「給料日だから、$32,000ちょうだい、あ、でも生命保険($5,000)に入るから$27,000でいいよ。$3,000渡すから$10,000札を3枚にしてね」という計算をしている。子供に銀行役をやらせると、なお学習効果は大きい

メリット2.リスクとリターンの考え方を学ぶ

「自動車保険に入るべきかどうか」という選択時のように、保険、住宅、株式投資のリスクとリターンについて考える基礎訓練になる。

デメリット1.マネー至上主義に走る

メリットばかりではない。「人生ゲーム」にハマると心配されること、1つめは、人生の価値判断への影響だ。人生における勝ち負けは資産の多寡で決まる、という「人生ゲーム」のルールを、子供が今後の基本哲学としてしまうと、ちょっと心配だ。ハマりすぎて、マネー至上主義の人生に突き進まないよう注意が必要だ(考え過ぎか)。

デメリット2.金融リテラシーがゆがむ

2点目は、マネーリテラシーが偏ることだ。最善手として挙げた「家と生命保険は必ず価値が上がるので買うべき」というのは、実際の金融知識としては必ずしも正しいとは限らない(特に現代の日本においては)。借金は金利がつかずほぼノーリスクなのでギリギリまで返済しない方が良い、というのも、正しく運用しなければ危険な知識だ。「実際はそうとは限らないよ」ということを伝えておく必要がある。

ふと気づいたが、2008年に米国でサブプライムローンの返済不能に陥った人々は、まさに「人生ゲーム」における常識(=不動産は必ず値上がりする)をもとに、「人生ゲーム」におけるベストの投資(=時限的な低金利固定の住宅ローンで頭金ゼロにより最大限借金をして高額住宅を購入する)を行った結果、最終的に破産した。「人生ゲーム」的価値観が、その後のリーマンショックと世界金融危機を招いたといっても過言ではない

「人生ゲーム」で学んだ最善手を自分の人生にそのまま当てはめるのは危険だ。子供がリアル人生で「開拓地送り」にならぬよう、正しい人生の道を導いてあげよう。

開拓地送りはゲームの中だけで。

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