音楽のアートワーク史に残るピンク・フロイドの『狂気』のジャケットは、凧として成立するのか。正月に凧にして揚げてみた。
歴史上最も素晴らしいジャケット第2位
プログレッシヴ・ロックの名盤『クリムゾン・キングの宮殿』のアルバムジャケットを福笑いにすることに成功して味をしめて、またお正月遊びをプログレッシヴ化することにした。
次なるお正月遊びは「凧揚げ」だ。
昔から凧っぽいと思っていたジャケットがある。ピンク・フロイドの『狂気(Dark Side Of The Moon)』だ。
プリズムを通過した光が虹色に分かれるモデルを描いた、このジャケットデザイン。英国のデザイン集団「Hipgnosis(ヒプノシス)」とグラフィックデザイナーのジョージ・ハーディの手によるもので、音楽のアートワーク史に残る傑作だ。ローリングストーン誌が選ぶ「歴史上最も素晴らしいアルバム・ジャケット10」でも、ビートルズの『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』に次いで2位に選ばれている。
これ、凧に見えないだろうか。中央のプリズムは三角の凧、左側の光の線が凧糸、右側のマルチカラーが凧の尻尾。凧として成立するか、作ってみることにした。
「狂気の凧」を持って土手へ
黒いビニールと、竹ひご、和紙を使って、「狂気の凧」を作る。
正三角形の凧は、重心を取るのが難しい。できればゲイラカイト型がよいし、尻尾は三角形の頂点につけないとバランスがとりにくい。だが、ジャケットのデザインの再現に徹底的にこだわることにした。
ジャケットと全く同じ構図の凧ができた。飛ばしにいこう。
凧揚げでたくさんの人が集まっている土手に、娘と持って行った。土手は凧あげの人たちでいっぱいだった。他の人の凧を見て、こっそりと尻尾の位置を付け替えた(早くもこだわりを捨てた)
さあ、飛ばすぞ。
飛ばない…
飛ばない…
くるくる回るだけで、いかにもバランスに失敗した手作り凧のパターンだ。
バランスを調整するために、凧糸の位置を変えたり、尻尾をとったりしたが、どうしても飛ばない。(既にジャケットの絵から形はかなり変わっている)
正月の土手は寒い。長居は不要だ。早々にあきらめて、普通の凧を揚げて帰ってきた。
プログレッシヴ正月遊び、今回は失敗だったが、まだ今後のアイデアもある。次はピンク・フロイドの『対(The Division Bell)』のジャケットで羽子板を作って羽根つきをするか…
『原子心母(Atom, Heart Mother)』のジャケットで、丑年の年賀状でも作ろうかと思う