「自分のことを差し置いてでも、子供には良いものを与えてあげたい」という心を持ちつつも、高級な菓子が手に入ると、「子供にあげるのは、もったいないな」という浅ましい気持ちが頭をもたげてくる。それが、親というものだ。
ショコラティエが率いるメゾンの高級チョコレートであれば、5~6粒くらいしか入っていないし、なんとなく子供には分不相応な感じもするので親が夜にこっそり頂いても、あまり心は痛まない。だが、ハーゲンダッツやゴディバなどのちょい高めの菓子のときが、心が揺れる。親だけで食べて、子供たち用にはハーゲンダッツの代わりにホームランバーを、ゴディバの代わりに「たけのこの里」を買ってくればいいか、という気もするが、それだと罪悪感が少しある。この罪の意識を薄めるためには、代わりのお菓子を買ってくるのではなく、代わりのお菓子を子供と一緒に手作りするのがおすすめだ。
あるとき、ゴディバのチョコをいただいた。
ちょうど、ゴリラ型のシリコンケースが家にあるので、子供用には、「ゴリラのチョコ」を一緒に作ることにした。
作り方1.子供と湯せんで板チョコを溶かして、ゴリラの型に流し込む。それぞれの型にアーモンドも入れる。
作り方2.チョコを冷蔵庫で冷やしている間に、パッケージを作って印刷しておく。
作り方3.ゴディバの箱から純正品(ゴディバ)のチョコを取り出して、子供の目の届かない場所に隠してしまう。空いた箱のスペースに、固まったゴリラのチョコを入れる。箱には、ゴリラのパッケージを巻く。
ゴリラのチョコレートの完成だ!
これで、親にはゴディバを、子供にはゴリラを、というスマートなすみ分けが完成する。子供と一緒に楽しくお菓子作りをする、良い親としての姿勢を見せることによって、われわれ大人は免罪符を得ることができるのである。