子どもと一緒に楽しむ「マクドナルドごっこ」も楽しいけれど、たまには親の趣味も混ぜたい。そこで親の大好きな映画『パルプ・フィクション』。例の「5ドルのシェイク」とハンバーガーを、子どもと一緒に再現してみるという週末プロジェクトである。
子どもが喜ぶマクドナルドごっこ
週末のお昼ごはん、どうせ作るなら子どもと一緒に楽しみたい。そこで人気なのが「マクドナルドごっこ」だ。

紙コップでマックのドリンクカップを作ったり、折り紙でポテトケースを作ったりする。これだけでもうマック感は満点。あとはバーガーを焼いて、ポテトを揚げれば、家の中がファストフードチェーンに早変わり。子どもたちは大喜びだ。

「今日もマクドナルドごっこがしたい!」と子どもが言うのは嬉しいけれど、毎回マックだと親のほうが飽きてくる。モスバーガーとかロッテリアもあるけど……いや、どうせやるなら『パルプ・フィクション』ごっこだ。
タランティーノ映画とは(ざっくり)
クエンティン・タランティーノ監督の映画は、だいたい9割くらいが「暴力」と「登場人物たちのむだ話」と「映画の引用」でできているが、残り1割が「食」だ。

登場人物たちはとにかく食べる。『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』でクリフ(ブラッド・ピット)が食べてたチーズマカロニとか、『イングロリアス・バスターズ』でランダ大佐(クリストフ・ヴァルツ)が注文した謎のスイーツ、アプフェル・シュトゥルーデルとか、『ヘイトフルエイト』のあったかシチューとか。印象的なシーンでは必ず、食べたり飲んだりしている。
そして、『パルプ・フィクション』はというと、もう完全にハンバーガー推しの映画である。
ジョン・トラボルタ演じるヴィンセントと、サミュエル・L・ジャクソン演じるジュールスが、フランスのマクドナルド事情について車の中で語り合い──ジュールスが「ビッグ・カフナ・バーガー」を食べながらチンピラを脅し──。
そしてヴィンセントとミア(ユマ・サーマン)が訪れたレストラン「ジャック・ラビット・スリム」で、ハンバーガーと共に伝説の「5ドルのシェイク」が登場する。このハンバーガーとシェイク、いかにもおいしそうだ。調べてみたら、海外のファンサイトに再現レシピがたくさん載っていた。よし、やろう。「ジャック・ラビット・スリムごっこ」だ!
「ダーワード・カービィ・バーガー」のレシピ
映画の中で訪れるレストラン「ジャック・ラビット・スリム」は、オールドハリウッドをテーマにした架空のアメリカンダイナー。メニューの名前が往年のスター風なのも渋い。
ミアが注文したのが、「ダーワード・カービィ・バーガー」。誰だよ、と思ったら1950年代のアメリカのテレビ司会者らしい。

海外の再現レシピの中から、日本でも材料が手に入りやすく、比較的簡単そうなものを選んでチャレンジしてみた。
材料(2人前)
- 【パテ】
- 牛ひき肉 250g
- ニンニク 1片
- 塩コショウ 小さじ1/2
- コリアンダー(なければナツメグ)小さじ1/4
- 【具材】
- バンズ 2個
- ベーコン 2枚
- トマト 1/2個
- レタス 2枚
- 紫玉ねぎ 2枚
- バター 適量
- 【ソース】
- マヨネーズ 大さじ1
- ケチャップ 大さじ2
- マスタード 大さじ1/2
- 【付け合わせ】
- フライドポテト 適量
- スイカ 一切れ
作り方
- ニンニクをみじん切りにして、パテの材料をまぜてざっくりこねる。できたら、円形のパテの形にして冷蔵庫で30分以上冷やす
- ソースの材料をまぜる
- フライパンでパテ両面を中火で焼き、焼き色がついたら蓋をして弱火で5分ほど蒸し焼きにして中までしっかり火を通す
- ベーコンを焼き、付け合わせのポテトを揚げる
- トマトは輪切り、玉ねぎは薄切り、スイカは三角に切る。
- バンズを軽く焼き、バターを塗って、ベーコンと肉をはさみソースも塗る。
- トマトとレタスはバーガーにはさまず、スイカとポテトとともに全て皿に載せる。自分で自由にはさんでトッピングするのが、「ジャック・ラビット・スリム」のスタイルだ。
- 完成!

「5ドルのシェイク」のレシピ
そして今回の本命は、これ。あの伝説の「5ドルのシェイク」だ。
映画の中では、ミアがハンバーガーと一緒に注文し、トラボルタが「ミルクとアイスだけで5ドル!?バーボンすら入ってないのに!?」とブチギレ気味に驚く。
が、飲んでみて一言──「これはうまい。5ドルはぼったくりだが、うまい」
ギャングも唸るほどのシェイク。こちらも再現レシピを探してチャレンジ。
材料(2杯分)
- バニラアイス(できればレディボーデンかハーゲンダッツ) 450ml
- 牛乳(低脂肪乳は使わず成分無調整牛乳) 150ml
- グラニュー糖 大さじ1
- バニラエッセンス ひとふり
- さくらんぼ 2個
- 生クリーム 200ml
- 砂糖 大さじ1
作り方
- バニラアイス、牛乳、グラニュー糖、バニラエッセンスをミキサーで混ぜる
- 生クリームと砂糖を泡立ててホイップクリームを作る(ホイップクリームは買ってきたものでもよい)
- シェイクをグラスに注ぎ、ホイップクリームを上に絞り、さくらんぼを乗せる。
- 完成!

「ジャック・ラビット・スリム」ごっこ
マクドナルドごっこと同じく、世界観の演出は重要だ。「ジャック・ラビット・スリム」のロゴマーク(うさぎ)をネットで拾ってプリントアウトし、画用紙に貼り、ランチョンマットを作成。

ここに、ハンバーガーと5ドルのシェイクを乗せる。

これで気分は、トラボルタとユマ・サーマンだ。


「ダーワード・カービィ・バーガー」はオーソドックスなアメリカンバーガー。ケチャップ、チーズ、玉ねぎ。シンプルだけど鉄板でうまい。
そして問題の5ドルのシェイク──これは…

「めちゃくちゃうまい!!」と娘が叫んだ。
ギャングがうなるのも納得の、濃厚でリッチな味わい。
ちなみにコストは、2杯分で1000円オーバー。5ドルどころじゃない。バーボンは入ってないのに、うまいし高い。
黙々と食べながら、娘がふと疑問を口にした。
「ところで、これって、何ごっこなの?」
当然の質問である。ハンバーガーとシェイクが出てきたとしても、「ジャック・ラビット・スリム」なんて知らないし、「5ドルのシェイク」に思い入れもない。
『パルプ・フィクション』を見せて説明するには、まだちょっと早すぎる。PG12指定の映画だ。出てくるのは基本ギャングと暴力と無駄話。教育上どうなんだ問題が発生する。
弱った。

おどってごまかしてください。
