子供が大掃除の戦力になるゲーム「大そうじクエスト」

子どもとくらす

年の暮れは、家の大掃除だ。大掃除を家族でワイワイと盛り上がってやるために、我が家では大掃除をゲーム化した「大掃除クエスト」を試みた。子供が戦力になるのはもちろんのこと、いろいろとメリットがあることも分かった。毎年少しずつゲームシステムを改良した経緯とともに、紹介したい。

大そうじクエストとは

大掃除をゲーム化した「大そうじクエスト」のシステムは単純で、家じゅうに貼られているシールを見つけ出して、そこに書かれているタスク(掃除の指示)を達成したら、シールをはがしてゲットできる、というのが基本ルールだ。

最初の年は、子供らが当時ハマっていた「こびとづかん」をテーマにした。

まずは事前の準備

1.キャラクター一覧をダウンロードして、1体ずつに「まどふき」「あみどそうじ」「ドアをふく」など掃除の指示を記載し、プリントアウトする(掃除の指示は手書きでも良い)

2.キャラクターを一枚ずつ切り離す

3.家の中の該当する場所にセロテープで貼る

4.捕まえたこびとを貼るための台紙も作る

大掃除がスタートすると、息子(当時6歳)と娘(3歳)の狩猟本能に火がついた。彼らは、家じゅうを掃除して、こびとをどんどん捕獲していく。「こびとづかん」のこびとは、家や町の中に潜んでいるという設定なので、「こびとを見つけて捕まえる」という設定がぴたりとハマった。期待以上に子供たちが大掃除の戦力になることが分かった

私たち人間の本質は、狩猟動物だということを再認識する

家族で競い合う

次の年の年末は、「ポケモンGO!」をモチーフにした「大掃除GO!」として、ポケモンを捕獲収集するゲームにした。

掃除タスクの文字は、ゲームボーイ版ポケモン赤・緑をイメージしたドット文字にした
電気周りの掃除にはでんき系ポケモン、水回りの掃除はみず系ポケモンにしたかったが、準備に時間がかかり過ぎるのでやめた

「見つける・掃除する・収集する」という基本システムは前年と同じだが、ポケモンの捕獲数を競うルールにした親も子も、われ先にと掃除をするようになった。競争はゲームにおける重要なインセンティブになる。

ゲットしたポケモンはそれぞれ自分の台紙に貼る。親子が競って掃除する。

ところが、勝負になると、ゲームシステムに対する不満が出てきた。掃除の労力とゲットできるポケモンの数がマッチしていない、という不公平感だった。

奥さんは半日かけてシンクまわりを徹底的に掃除したが、この掃除でゲットできたのは「シンクそうじ」と書かれた1匹のみ。これに対し、ゲームシステムの穴に早々に気づいた娘(当時4歳)は、掃除に取り掛かる前にまず家の中の全てのポケモンを確認したうえで、掃除のラクな順番に着手し、最小の労力で最大限のポケモンをゲットするという効率的なポケモン収集術をあみだした。寒いベランダで泡まみれになって窓を拭く息子(当時6歳)からは、家の中でラクな拭き掃除ばかりしている娘に対して「ずるいぞ!」と非難の声があがった。

タスクを細分化する

そこで翌年は、掃除のタスクを細分化した。

例えば、「まどふき」は、窓1枚単位でのタスクだったものを、窓の外側の上部・外側の下部・内側の上部・内側の下部の、計4つのタスクに分割し、それぞれ1匹ゲットできるようにした。

この年のテーマは「コンガラガッチ」

これにより、労力と捕獲数とのミスマッチが軽減され、不公平感が減った

また、タスクが細分化されたことで、次々とキャラクターがゲットできるようになった。細かいスパンで達成感が繰り返され、モチベーションが高まる。まさにタスクの細分化は業務効率化の肝だ。

タスクが細かい分、台紙はすぐにいっぱいになる

掃除の労力と捕獲数をそろえる

翌年は「ピクミン3デラックス」をもとにした「オオソウジデラックス」

ピクミンの捕獲数を競うルールは従来と同じだが、この年は、はじめからピクミンが1~3体描かれたシールを用意しておき、労力と捕獲する数をきめ細かく調整できるようにした「タスクと報酬のミスマッチ」問題はほぼ解決された

(掃除の内容によって捕獲できるピクミンの数が違う)

また、ゲーム性を高めるため、捕獲できるピクミンの数は掃除が完了して裏返すまでは分からない仕組みにした。

見えているのは、ピクミンが埋まっている状態。捕獲できるピクミンの数は、掃除完了して裏返すまでわからない

4年間の試行錯誤で、大掃除ゲームのシステムとしての完成度は高まったと思う。

大そうじクエストを行うメリット

最後に、大掃除ゲーム化のメリットを挙げておきたい。

  1. わりと楽しく大掃除ができる これが最大のねらいだが、皆がモチベーションを維持したまま、楽しくワイワイと掃除できる。
  2. 子供が自分で動く ゲームがスタートすれば、こちらから1つずつ指示を出さなくても、子供たちが自分からキャラクターを見つけて、自分のタスクに集中して、どんどん掃除していく。子供への指示のたびに自分の作業が止まるという「子供に手伝ってもらいたいけれど全部自分でやった方が早い問題」が、ほぼ解決できる。
  3. 大掃除の全体像があらかじめ把握できる ゲーム開始前にキャラクターのシールを製作して、あちこちに貼る作業は、掃除のポイントを洗い出して整理しながら行うことになるので、事前に大掃除のタスクの全体像や段取りを把握できる。
  4. 進捗状況が見える 掃除がどこまで進んだかという進捗状況が、各自の捕獲リストと、まだ貼り残されているキャラクターで把握できる。また、掃除のやり残しがなくなる。

掃除の前にカードをたくさん作って切り取って、家じゅうに貼る作業は多少の手間がかかる。とはいえ、この段取りが、その後の掃除の効率化で重要な工程だ。「段取り八分の仕事二分」の格言通り、トータルで見ればロスにはならない。

また、一度大掃除ゲームを行い掃除ポイントが整理できれば、翌年以降は事前準備はそれほど時間がかからなくなる

大掃除ゲームのテーマは、ドラクエでも、妖怪ウォッチでも、モンハンでも、子供の狩猟本能に火を付けられるキャラクターなら何でも応用できる。またキャラクター捕獲系だけでなく、ミッションをクリアしてアイテムを収集するゲームなどもできそうなのでぜひ応用してみてほしい。

なお、年末の忙しい時に、ポケモンのカードをちょきちょきとはさみで切っている様子は、家事を放棄して遊んでいると誤解されかねない。事前に家族に説明しておこう

大掃除前にちらかしている、と思われないよう事前の説明は必須
タイトルとURLをコピーしました